司会「フライヤーにも使用されています、こちらのイメージ写真は小池さんが撮られてますが、このイメージはどういったイメージなんでしょう?」

小池「これはジョナサン・スウィフトと猫なんですけど、僕のなかでは(笑)。まぁジョナサン・スウィフトと猫が食卓に着いてるイメージで。この人の背景ってゆうのが非常に変な人で、生まれも定かではない、どうゆう育てられ方をしたかも定かではない、とゆうことで、ガリバー旅行記を見てもらえばわかると思うんですけど、あれの最終章ってゆうのは馬の章なんですね。馬が見た人間とゆうか、馬の国に行くんですよ。で、馬の国では人間は最下等の動物なんでね。最高等の動物で、その最下等の動物から見ている人間をずっと見ていると、そこに行ったガリバーが戻ってくると、やっぱり人間嫌いになっているわけです、すごく。いかに嫌な生き物かってゆうのが書かれてましてね。そうゆうものを食べる欲求と自分の背景にある様々な汚さだったり、あるいは綺麗さだったり、そうゆうのを描きたいと思った写真ではあるんですけど。」


司会「いつもイメージ写真は撮られるんですか?」


小池「イメージ写真は撮りますけどね。」


司会「それがこうゆうふうにチラシになるとゆうのは今まであったんですか?」


小池「いやぁ、なかなかそれは、気恥ずかしくて。(笑)」


司会「ではこれはイメージを伝えるために見せたとゆうことで、使ってくださいとゆうことではなかった訳ですか?」


小池「チラシの裏にちょっと載せるなら、どれが良いかなとかは思ってたんですけど。」


司会「まさかこんなフライヤーにとゆう感じですか?」


小池「そうですねぇ、まさかですね。」


葛西「採用されて嬉しかったでしょ?(笑)」


小池「それはねぇ(笑)。」


司会「葛西さんはご覧になったときどうゆう感じだったんですか?」

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葛西「僕は僕で助かったんですよ、どうしていいかわからなかったですからね。」


司会「ビビッと来たわけですか?この写真を見て葛西さんの方も。」


葛西「ええ、さっきの文字と組み合わせることが、目の前に写真がありましたからね。これがなかったら出来なかったかも知れませんもんね。」


小池「フライヤーにしても二種類の写真を使っていただいてますしね、ポスターはまた別の写真ですしね。この写真ではないですけど。」


司会「小池さんはいつもはイメージを伝えるものとして写真を撮られるんですか?」


小池「そうですね、写真に関しては自分で撮っちゃった方が自分のイメージを伝え易いと。これを人にとってもらうとなかなか合わないんですよね。そうじゃないんだよなぁとか。」


葛西「一種のあれですか、写真を撮りながら台本とゆうか、物語の構成を組み立てていくスケッチのような気持ちですか?」

小池「それありますよね。何やっても全部反映しますよね。で面白いのはやっぱり、葛西さんもそうですけど、だいたい素晴らしいアーティストの連中ってゆうのは。今美術をやっていただいているヤノベケンジさんなんかは、こちらが期待する数倍のものが返ってくるんですよ。これが、えーっ!?て思うの、最初は。葛西さんのでもそうですけど、最初見せられたときはこうゆうふうにきたかっ!てゆうね。単純に良いとゆうより、自分が想像してたのと違うのが出てくるわけですよ。裏切られるんですね。衣装を作るアウトセクトチームにしても、元々イッセイミヤケのコレクションデザイナーやってますから、彼らもいっつもひねりがたっぷり効いててね。面白いことに、本当に良いアーティストとゆうのはそれがだいたい良い方に流れていくんですね。音楽でもそうですよね。」


葛西「そこまで僕は考えていないんですけど、きっかけを与えられるわけですね、グラフィックにまとめる為のきっかけは小池さんの言葉だったり台本だったりするわけですけど。ここで小さなきっかけを基にして、そこでいったん線を引いて、小池さんが向うに行っちゃってから、連想ゲームみたいに始まるわけですよ。あれがこうなって、ここからこうなってっていう、気持ちの連想ゲームが始まると、深入りして一人でどっか行ってしまうわけですよね。それをもう良しと決めちゃって、形にするという。でも元々の原因は小池さんだぞってゆう屁理屈を自分の中で立てて(笑)。決着がつかないから行くとこまで行って良しとして、あとは小池さんに見せれば何か意見があるだろうし、もし違ったら、また違うところに走れば良いとゆう。やってるときに小池さんの喜ぶ顔は目に見えないんだけど、数ヶ月たって良いと思うわと言われたら、まちがってなかったというか、思いはこれで良かったんだなと思える。」         
小池「とゆうよりね、これはやっぱり、絶妙なバランスなんですよね。その絶妙なバランスというのは創作過程に置いてはまだ“絶妙”までには至って無いんですよ。そうすると何か違和感がある。それが最終的にでてきて、このバランスで、この紙でココがこうきたからこうなったのねと言うのがよく分かるのね。でそれがわかんないんですよ、みてると。(笑)『こういう紙でこういう風に行きたいと思ってます』っていわれても、それがイメージできないところがあって。ですから、ある程度までいくと何となく良さそうだなと思えたら、そのまま行っちゃいます。」


司会「後はもうでてくるのを待つのみ・・・ですね。」

小池「そうですね。」


葛西「そしてあとは、小さな努力をしてましてね、いろいろお金かかりますから、なるべくコストパフォーマンス考えてやっています。例えばこのガリバーのチラシは、菊全ていう紙に面付けといって,沢山並べて印刷するんですね。そうすると右側に7センチくらいの無駄が出るんですよ。もったいないからそこにもう一つ印刷物をいれて、断裁重ねてゆくと、隅々無駄無く使える(笑)これ(ミニチラシ)もそれでうまれた紙なんですよ。それはそれで、思わぬ形が出来て。それに合わせて字をならべてゆくとまた楽しくなってきて・・・。そういう制約っていくのはバネになりますね。」

司会「小池さんもよく制約があるとをたのしむという様な話をされますよね。」


小池「楽しむといゆうか笑」


葛西「楽しまざるをえなくなる笑」


小池
「常に制約だらけなんで、笑。かなしいですけど、なかなかね・・」


司会「なんかちょっとしょんぼりした感じになっちゃいましたけど笑」

一同「笑」