司会「続いて次の作品は「トウキョウ⇔ブエノスアイレス書簡」です。

司会「こちらの作品は、小池さん、どのような作品なのでしょうか?」


小池「ブエノスアイレスっていろんなイメージを醸し出してくれるんで、南米と日本の中で何かやりたいと思っていましてね。日本人のある女がブエノスアイレスに住み着いて、住み着いた結果生み出す妄想みたいのを描き出したら面白いかなと思って作ったものなんですよ。音楽は葛西さんから紹介を受けた中川俊郎さんです。一度コンサートを見に行ったらすごく面白くて。ピアノ弾きながらニタニタ笑ってるんですよ。クラシック音楽でニタニタ笑ってる人って本当にいないんですね。あまりに変で、その場で「中川さん、次出ません?」って言ったら「はい、出ます。」って。それでさっきのWDには出てるんですね。しかも女装して「もう僕癖になっちゃいそうです」とか言いながら出てましたけどね。(笑)話はずれましたが、ここうゆう妄想なのか現実なのか分からない、それがブエノスアイレス行くとすごく良く分かるんです。幻想の町なのか、実在する町なのか、よく分からないようなところがあって、それを形にしてみたってところです。」

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司会「フライヤーなんですが、葛西さんの大ファンのうちのスタッフが、一つ発見したことを伝えてくれたんですが、小池さん、この女性の首に書いている文字、なんて書いてあるかご存知ですか?」


小池「これは・・・適当に描いたんですよね?」


葛西「いやいやいやいや。(笑)」


小池「え?!違うんですか?」


葛西「知らなかったの?(笑)」

小池「・・・?」


司会「なんと、これをですね、裏返して、九十度傾けると・・・草書体のひらがなが見えてきます!これは、短歌ですか?」

葛西「和歌ですね。」


小池「ホントだ・・・。こうゆうことを入れたいんだってことは聞いてたんですが・・・。」


葛西「ウーロン茶で一緒に仕事をやっている、コピーライターの安藤隆さんと、ある時からパパ・タラフマラの印刷物を作るときには一緒にするようになったんですけど、この時もいつものように、何回か打ち合わせをするうちに、なぜか安藤さんが和泉式部のこの和歌をもってきたんですよ。「あらざらん このよのほかのおもいでに 今ひとたびのあうこともがな」という。たぶん小池さんのやろうとしていることから感じて、こうゆう言葉をどこかに入れたらいいんじゃないか、とゆうことになりました。」


司会「意味はですね、私はもう死んでしまうでしょう。でもあの世に旅立つことの思い出に、今一度、たった一度でいいから、あなたに会いたい。とゆうことですね。」


司会「えっこれは葛西さんの直筆ですか?」


葛西「一発で書ける。」


小池「!!」


司会「すごい!!」


葛西「裏返しにするだけじゃなく九十度倒して書くのが子供の頃から得意技で、万葉仮名風に連綿で書くってことを練習したんですよ。」


司会「このためにじゃないですよね?」


葛西「このためにじゃなくて、必要のない練習をして、やりたいなーと思って。この時、少しいたずら気分もあって、やったんですよね。でこれが誰にも気付かれなくても構わないんですけど、こうやって何かの時に伝えることが楽しいとか、発見してくれることが楽しい。笑」


司会「そうですよね、丁度一年経ってここで小池さんに伝わったという。」


小池「いや、そうゆう話は聞いてたんだけどね、入ってねぇや、色々見てこの文字そうかなと思ったけど、わかんなかった。今気付きました。(笑)」


司会「小池さんでもじっくり見ないと分からない隠し文字とゆうか、面白いいたずら心が隠されているわけですね。」