「パレード」


初演 1989年8月 利賀国際演劇フェスティバル

 

野外劇場で初演され、日本の「舞台芸術の新しい領域を開いた」と評される作品。台詞を全く用いず、従来の演劇、舞踊といった枠組みを越えて新たな劇表現を獲得したこの作品は、パパ・タラフマラの大きな転換点となった。


「文明のパレードであり、物質のパレードである。」
(小池博史)


人の生み出した物が、むしろ人を動かして先へ先へと進んでいく。そのような文明のエネルギーを視覚化し、生命と物のパレードとして描く。ロケットを想起させる7本のオブジェが舞台上に立ち並ぶ。抽象化された都市をイメージした、青と白を基調とした静謐な舞台は宇宙空間を思わせる。インスタレーションとしても機能する舞台空間を、パフォーマーが行き交う。歩く、走るといった日常動作から発展させた直線的な動きは都市のスピード感を感じさせる。さまざまな物たちが舞台を横切っていく。人は物と戯れるように現れては去っていく。人と物との共生。ライトオブジェが静かに光を放つ。ラストシーンで人々は空(くう)を見つめている。その視線の先にある未来は まだ形を成していない。

 

■作・演出:小池博史
■音楽:菅谷昌弘
■美術:松島誠
■美術制作:福島直美、梅原嘉起、宮川いずみ
■衣裳:中務佳世
■染色:西垣聡子
■照明:関根有紀子
■舞台監督:田染友秀
■宣伝美術:桜庭文一


■出演 :小川摩利子,清水啓司、吉井省也、松島誠、水谷亜紀、中山寧、今尾博之、笹田明子