「WD-What have we Done?」

 

初演 2001年12月 世田谷パブリックシアター

WんことD刃包丁
WD=What have we Done?


20世紀。あれは何だったんだろう。
あれは本当に終わったのか。ならば21世紀は、20世紀を超えられるのだろうか。私たちは何をしたのか。そして、私たちはどこへ行くのか。


「WD」は、パパ・タラフマラ過去最大規模の作品。全4章「I was Born」「Love Letter」「So What?」「The Sound of Future SYNC.」からなり、各章ごとに舞台美術・衣装を変えて繰り広げられる異例の超大作。
現在地球上に存在する人間のほとんどは20世紀に生まれ、20世紀を体験し、そして21 世紀をついに迎えた。その20世紀を回顧してみれば、さまざまなことを言うことができるが、特に人間の価値が大きく揺らいだ時代であったと言えよう。人が塵同然になったり、異常に命の重さが増した時代でもあった。国家が強大な力を持ち、西洋思想が大きく 幅を利かせ、すべては西洋文化が中心となり動いてきたのが20世紀だった。そして、これ らキリスト教的西洋思想の限界が垣間見えたのも、20世紀であった。

 

Ⅰ “I Was Born“
19世紀末から1920年代までをイメージして作られた章。 20世紀という「巨大で、何か奇妙なるもの」が始まった。それは新たな喜びと不安の誕生でもあった。爆発的産業の発展、第一次世界大戦、人口増加等多くの不安と悲劇。喜びは次第に暗雲をもたらし、ねじれを生み出していく・・・・


Ⅱ "Love Letter"
1930年代から1960年代までをイメージしている章。つまり日本においては、第二次世界大戦へと向かう戦争突入から高度成長時代までを描いている。さまざまなすれ違いと、熱狂が生み出してきたものを、妄想的なラブレターを題材にとって描いていく。


Ⅲ "So What? "
1970年代からほぼ2000年をイメージして描いている章。どこか嘘っぽい現実感。真理を求めつつも、空虚に吸い込まれていってしまう。一見、平和に思えた時代の、深い虚空・・・。「自分」が何者なのか、希薄に希薄になっていく。


Ⅳ "The Sound of Future SYNC. "
まだ始まったばかりの21世紀。これから迎えようとしているのは、更なる空虚な時代なのか。多様性が渦巻き、互いに有用に作用して、大きなダイナミズムを生まなければならないはずの時代。しかし、それは夢物語でしかないのか。平和と戦利的事象が混ざり合ったパレードの時代を、いかにして乗り切るのを可能とするのか・・・。。

 

■作・演出・振付:小池博史
■音楽:中川俊郎/レスリー・スタック、菅谷昌弘、種子田郷、リュウ・ソーラ
■美術:会田誠、松島誠、小池博史
■オブジェ:田中真聡、森脇裕之、宮木亜弥、福島直美
■映像:佐々木成明
■衣裳:浜井弘治、中蔦尋江
■照明:関根有紀子
■音響:江澤千香子
■舞台監督:大谷地力
■宣伝美術:葛西薫、安藤隆


■出演:小川摩利子,松島誠、白井さち子、三浦宏之、関口満紀枝、中村真咲、小林敦、秋葉睦子、小幡あえ架、岸草一、朴井明子、ささだあきこ、中川俊郎、ジョシュ・フォックス、アリフワラン・シャハルディン、チェ・ジン・ハン、リュウ・ソーラ、トム・トラス