収録時間:55min
ディスクタイプ:片面一層タイプ
カラー:カラー
画面アスペクト:4×3
音声仕様:ステレオ
字幕:なし
製作:SAI Inc
作品解説
何もない舞台。そこは風の吹く場所。島。島の唄が聞こえる。
それぞれの『島』を抱えた男女の、最もシンプルで、最も美しい作品。
国境、地理的差異、人種、性別、言語、家族などさまざまな“国境”をテーマとする 「島」シリーズの原点となる作品。何もない舞台に登場人物が二人だけという、パパ・タラフマラ最小規模の作品であり、台詞の多用、ヴォイス表現に重点をおいている点でも他の作品とは大きく異なる。禁欲的なまでにシンプルな舞台に男と女がそれぞれの幻影を描き、物語を生み出していく。
この作品は、ガルシア・マルケスの「大きな翼のある年老いた老人」をモチーフにした、翼があると思い込んでいる男と、小池の創作による、妄想から分身の美少女を生み出してしまう老女の物語が渾然一体となった作品である。それぞれの物語が、あるときは一つに交わり、あるときは完全に独立した形で舞台上を進行していく。外の世界を求める妄想と内にとどまろうとする妄想とが、彼らの立っている「島」という孤立した空間をあぶり出す。
ステージには男が一人、女が一人立っている。無音の中を二人が静かに動き出す。 男は見えない翼をはばたかせ必死に飛ぼうと試みては落下してうずくまる。女は見 えない誰かに向かって語りかけている。二人の動きは時に重なりながらすぐに離れてしまう。互いに相手を求めながら繰り返されるすれ違い。幻影を追い求める孤独な二人の距離が空間をつくり出す。言葉にならない歌が二人 の心から絞り出される。響き渡る声による交感。哀切さを残し、声が空の彼方へと投げかけられる。
<Photo by Hiroshi Koike>
<Photo by Hiroshi Koike>
<Photo by Hiroshi Koike>
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